抄録
電子写真に使われるトナーにはその帯電性をコントロールする目的で帯電制御剤(Charge Control Agent;CCA)と呼ばれる物質を添加する.このCCAの帯電機構の解析をCCAトナーの帯電性の測定とCCAの分子構造からのコンピューター・シミュレーションから行った.
このコンピューター・シミュレーションの前提として,CCAの帯電に水分子が関与する新しいモデル Water Dissociation Modelを提唱した.その計算結果と実測したCCAトナーの帯電量及び帯電極性の関係を明らかにして,このモデルの妥当性を検討した.
その結果,
1)化学構造を系統的に変えたCCAの帯電性とWater Dissociation Modelに基づくシミュレーション結果は非常に良く一致し,このモデルの妥当性を示した.
2)CCAの帯電性を説明するには水分子の存在が重要であることを示した.