抄録
高出力半導体レーザを光源とする溶融型レーザ熱転写方式の検討を行った.本記録方式では,単一基本モードのレーザビームを回折限界にまで集光し,数μm径の光スポットを形成して,この光スポットの発熱により溶融型熱転写インク層を直接融解転写する.このためμmオーダにおける画素形成の可能となり,超高密度な画像記録プロセス実現の可能性がある.
本報では,レーザ熱転写の記録過程を薄膜の熱応答モデルを用いて理論的に解析し,記録開始エネルギーの予測式を導出した.また,ドラム型レーザ熱転写記録装置を試作し,レーザ光の連続発振による線像記録とパルス発振によるドット記録による記録特性の実験的評価を行った.記録密度では最小記録線幅7.5 μm,解像度3,333 dpiを得た.記録開始エネルギーは約1.27 J/cm2であり,予測値0.98 J/cm2に近い値を得ることができた.1 mm平方の標準印字サンプルによる転写評価も行い良好な印字を確認した.