本実験は,電界中のトナーの運動の理解と位置制御を目的として行い,具体的にはトナー粒子を1個ずつ位置制御するための基礎実験として針電極先端とトナー間に形成する局所電界を利用して針電極先端へのトナーの吸着と転写を試みた.支持体上に一層のトナー層を形成し,そのトナー粒子に対し電解研磨した針電極を接近させ,針電極側からトナー電荷に対して逆極性の電界をかけることによりトナー粒子を針先端に付着させた.1個のトナーを吸着するのに必要な電圧は12.8Vであった.その後,トナーを吸着した針電極を普通紙上に移動し,吸着時とは逆の電界をかけることでトナーの転写を行うことができた.本実験でトナー粒子を1個ずつ位置制御することが可能であることが解った.