インク滴がインクジェット用紙に浸透してドットを形成するメカニズムを検討した.実験は種々の体積のインク滴をインクジェット用紙に種々の速度で着弾させ,インクが浸透する様子を観察するとともに,形成されたドットの径・断面を測定した.また紙の吸インク特性をブリストー法によって測定した.
この結果,インク滴は紙に着弾後,紙上で数μs~10数μsの時間オーダーで拡がるのに対して,浸透は数ms~数10msのオーダーで起きることが分かった.さらにインクの毛細管浸透の理論に基づいて,紙の空隙率・空隙へのインク充填率・紙とインクのぬれ性・インク物性などをパラメータとして含む浸透モデルを考案した.このモデルによれば,インクジェット用紙上でのドット径を精度良く予測することができる.