抄録
ストレスに満ちた現代社会において、心を如何にコントロールするかということが重要な課題となっており、その方策のひとつとして禅が注目されている。40分間の坐禅の前後における静脈血中のコルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリン、ド-パミン、βーエンドルフィン及びガンマーアミノ酪酸(GABA)などの変動を測定した。コルチゾールとアドレナリンは有意に減少し、ノルアドレナリンは増加傾向を示した。βーエンドルフィンは有意に減少し、GABAはほとんど変わらなかった。これらの傾向は、変化率でみると午前中の坐禅(早晨坐)よりも夜の坐禅(夜坐)において著明であった。血漿コルチゾール及びアドレナリンが減少していることから、坐禅によりストレスが緩解し、交換神経活動が低下するものと考えられる。