抄録
快・不快の感情は五感から受けた刺激が、意識に作用した結果である。主観的情報は個人差もあり把握が難しい。刺激が人に与える影響を客観的に検討することは重要である。今回、触覚刺激と聴覚刺激を、情動変化を知る良い指標とされる皮膚インピーダンス変化を用い測定した。健康成人8人を対象にした。触覚刺激には椅子式マッサージ機を、聴覚刺激にはクラッシック音楽を使用した。単独刺激時と、同時刺激時の変化を検討した。触覚刺激に対して生体は敏感に反応した。一方、聴覚刺激に対して生体は鈍感な反応を示した。触覚刺激は刺激終了後もコントロールの状態に戻らず、変化が発生した。同時刺激の場合は、単独刺激と異なる反応が現れた。単独刺激より同時刺激の方が生体に与える影響は大きかった。以上のことから、各種感覚刺激が生体に影響を与えることが明らかになった。感覚刺激を上手に利用することにより、治療効果助長に応用することが期待できる。