国際生命情報科学会誌
Online ISSN : 2424-0761
Print ISSN : 1341-9226
ISSN-L : 1341-9226
特集
視覚あるいは体性感覚先行刺激による運動の錯視に伴う脳活動 : fMRIによる検討(<特集>Human PSI Forum "Human Potential Science" Internationl Forum「潜在能力の科学」国際フォーラム : 物理・生理学的アプローチ Joint with 「こころと体の不思議」国際フォーラム 第14回生命情報科学シンポジウム(国際版) 2002年8月22〜27日(木〜火) 於 : 千葉市 幕張新都心 OVTA(オブタ))
田邊 宏樹柳田 敏雄
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 20 巻 2 号 p. 627-630

詳細
抄録
運動の錯視(Illusory Line Motion; ILM)とは、先行刺激(cue)後数10〜数100ミリ秒を経て直線を呈示するとその直線が先行刺激側から伸びてくるように知覚される現象のことである。この錯視現象は、(1)先行刺激誘導(stimulus-induced)でも自らが注意を向けること(voluntary)によっても引き起こされる、(2)先行刺激は視覚刺激のみでなく聴覚や体性感覚を用いても引き起こされる(cross-modal cued ILM)、といった特徴を持っており、感覚モダリティを越えた共通の神経ネットワークを基礎にしていることが考えられる。今回我々は、fMRI及び心理物理実験を通して、この現象に伴う脳活動について検討した。fMRIにより脳活動部位を調べると、活動のパタンは空間的注意課題遂行時のパタンとよく相関し、また被験者の「みえ」と運動視に関与するといわれているhMT+の活動にも相関が見られた。これらのことから、運動の錯視は空間的注意の神経基盤により引き起こされ、また内観的な「みえ」も特定の神経基盤に基づいていることが示唆された。
著者関連情報
© 2002 国際生命情報科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top