国際生命情報科学会誌
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第17回生命情報科学シンポジウム
香りが脳機能に与える効果(特別講演3)(第17回生命情報科学シンポジウム)
古賀 良彦
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2004 年 22 巻 1 号 p. 179-186

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抄録

我々は、香りが生体に与える効果を脳の機能の変化というレベルで評価する試みを行い、脳波の分析によってその変化を詳細に捉えることができることを示してきた。今回は、コーヒーの香りの効果について評価を行った結果について紹介する。コーヒーはその香りによってリラックス感を得たり、ほどよい緊張感を取り戻す効果があることが知られている。我々は、コービー豆6種を選び、脳波の分析によって豆の種類による効果の差異を検討した。リラクセーション効果の測定には、アルファ波の分析を用いた。グアテマラ呈示時のアルファ波パワー値は、マンデリン、ハワイコナに比べて有意に高く、コントロールおよびモカマタリと比較しても高い傾向がみられた。一方マンデリンは、コントロールに対しアルファ波を減少させる傾向がみられた。また、認知機能の生理学的指標としては事象関連電位P300を用いた。 P300潜時は、ブラジルサントスは無臭時、グアテマラ、モカマタリ呈示時に比べて有意に潜時が短かった。また、ブルーマウンテンよりも短い傾向がみられた。これらの結果は、コーヒーの香りは豆の種類によって影響が異なるので、目的に応じて豆を使い分けることにより、顕著な効果を得ることができることを示すものである。脳波をはじめとして、最近、目覚しい進歩を遂げた脳機能画像を利用することにより、今まで未知の部分が多かった匂いとヒトとの関わりに関する研究が飛躍的に発展することが期待される。

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© 2004 国際生命情報科学会
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