国際生命情報科学会誌
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第19回生命情報科学シンポジウム
曼荼羅と左・右脳
上田 至宏
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2005 年 23 巻 1 号 p. 157-

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抄録
近代科学が華々しく花を咲かせていますが、そこで活躍する人間はそんなに大きくは変化していないのではないでしょうか。むしろ自然から眺めた人間の感性は退化しているのかもしれません。今世紀は人間の医学が花開き、医療の現場でも感性(正しい直観)がますます必要となるでしょう。 そこで、古代の人間が感性で描きあげ、伝えられてきた曼陀羅の構成を、現在の脳生理学の機能で眺めてみますと、そこには多くの類似点が見られます。ここで言う曼陀羅とは胎蔵界と金剛界の両界曼陀羅のことをいい、この図は最古のシステム図であるともいわれています。 密教では、世界あるいは宇宙全体は仏の姿であると考え、自然そのもので命あるものとみなされています。その世界は常に「生まれ、成長し、滅びる」もので、曼陀羅にはその考え方が反映され、時の流れ、カオス、フラクタルの概念が内包され、生理学的な面では右脳と左脳がそれぞれの曼陀羅に対応しています。そこでは人間の存在も自然の生命活動の一部分です。修行者はこのマンダラを観想することでそこに存在する「縁起」に気づきます。古代の人間が感性で描きあげ、伝えられてきた曼陀羅の構成概念のすばらしさに驚嘆させられます。
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© 2005 国際生命情報科学会
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