国際生命情報科学会誌
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研究発表
中年女性におけるタイ式自己整体「ルーシーダットン」の運動効果
2次元気分尺度による心理的変化の検討
高橋 基子
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 34 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

近年、我が国では、中高年における精神疾患罹患者が急増しており、平成25年、厚生労働省は、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病とともに精神疾患を「5大疾病」として、医療計画に加え、対策の必要性について示している。また、「健康意識に関する調査」では、健康に関して不安があると答えた中高年(40~64歳)の人は、不安要因として、「体力の衰え」(50.4%)「ストレス・精神的疲れ」(38.9%)をあげている。このことから、体力に自信がない人でも参加しやすく、ストレス軽減できる軽運動の需要は高まっていると考えられる。ルーシーダットンとは、タイの伝統医療における運動法である。呼吸法と姿勢(ポーズ)をとるだけでできる簡便な健康法とされており、近年、日本国内においても、運動プログラムとして行われている。しかしながら、ルーシーダットンの運動効果についての研究は見当たらない。そこで、本研究は、中年女性におけるルーシーダットンの一過性の心理的効果について検討する事を目的とした。C市在住の中年女性10名を対象者とし、回答不備による1名を除外した9名分のデータを解析した。ルーシーダットンを90分間行った事前事後において、8つの質問に答えることで、「活性度」「安定度」「快適度」「覚醒度」の4項目について、心理状態を測定できる2次元気分尺度TDMS (Two Dimensional Mood Scale)を用い、測定した。事前事後の測定結果を比較検討したところ、対象者全員に、心の安定度と活性度、快適度において増加がみられた。この事から、中年女性におけるルーシーダットンは、心理的な快適度を増加させ、ストレスを軽減させる軽運動であると示唆された。

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