抄録
植物も含め地球上のすべての生物は、太陽とその周りを公転する地球の環境に合わせて自らの生命を制御し、活動を営んでいる。動物における自律的・統合的な制御機構として自律神経システムが生まれ、進化してきた。ヒトは母親の胎内で、生命進化の全過程をたどって誕生するといわれるが、早期産児では時に自律神経バランスが未成熟の可能性も考えられるとの報告もある。また気の感覚や、ヒーリングにおける皮膚表面へのごくわずかな刺激などは、体性感覚刺激として脳の感覚野へ投射されるより、自律神経がまず反応を促されている可能性はないだろうか。今回の報告では、発達障害児における課題遂行時の脳波と自律神経バランスを定型発達群と比較検討したデータや、皮膚へのテーピングと自律神経機能の関係性を調べたデータなどから、精神活動の座である脳と内臓諸器官機能の相互調節に働く自律神経系の機能を合わせ検討しながら、生命における自律神経システムの働きについて考えてみたい。