抄録
疾病や外傷の急性期治療、感染症対策などにおいて、われわれは現代医学の恩恵を多大に受けており、それを否定はできない。しかしながら、現代医学では、治癒されにくい疾患、十分に有用ではない領域があり、その不完全さを代替医療は補えるかもしれない。代替医療には、アーユル・ヴェーダや漢方医学といった伝統医学の他、広義には、気功療法や波動療法といった十分に検証されていない領域も含まれる。代替医療は、玉石混淆で、実際に効果のある治療法を選択するのは困難である。そこで、今回は代替医療の例をいくつか挙げ、実際に効果のありそうな療法、施行者が効果があると勘違いしそうな例、受診者が効果があると思い込んでしまう例、思い込みとしか考えられない例、商業主義と思われる例などを考察していく。そして、代替医療を客観的に評価するための方法を提示し、真に有用な代替医療を治療と予防の視点で、Evidence-based Medicineの観点から模索していく。