2022 年 97 巻 2 号 p. 31-47
ハザード知覚スキルの獲得プロセスを分析するため,ベテランの大工職の建設作業者へインタビュー調査を行いM-GTAにより分析した。その結果11カテゴリーグループ,37カテゴリー,73概念が生成され,ハザード知覚獲得プロセスは3つの時期に分かれた。初心者期はハザードの知識不足,ハザード・周囲への注意不足,ハザードの低いリスク評価が見られた。初心者からベテランへの移行期は作業者の心理的変化と事故・ハザードの経験がハザード知覚スキル獲得や注視対象のパターン化を促進した。ベテラン期は初心者期のハザード知覚が改善され新たな方略化も見られた。知見を基に未熟練の建設作業者のハザード知覚スキル向上対策を議論した。