2012 年 5 巻 p. 79-93
本論は、外国人生徒の高校進学問題を入試配慮の実態に引き付けて議論した。外国人生徒の高校受検のための特別枠や特別措置がこれまでどのような効果を有してきたかについて検証する研究はほとんど行われていない。本論は、まず、各都道府県の入試要項・細則を資料として、特別枠と特別措置の全国的な動向を整理した。その結果、特別枠と特別措置の中身や受検資格の条件等は都道府県ごとに大きく異なっている現状が明らかになった。次に、栃木県を対象にして行った外国人生徒進路調査のデータを使い、公立の中学校を卒業した外国人生徒の進路を総体的に明らかにするとともに、特別措置の利用状況とその効果を検証した。2年間の調査で269人の外国人生徒の進路が明らかとなった。全体の高校進学率は8割を超え予想よりも高い結果が確認された。しかし、特別措置制度で受検するための条件である「入国後3年以内」に該当する生徒は269人中36人(13.4%)しかおらず、その半数程度しか措置を利用していなかった。特筆されるべきは、ポルトガル語とスペイン語を母語とする生徒の利用が皆無だったことである。この大きな要因は、南米系児童生徒の滞在の長期化と定住傾向にある。このことにも起因して、南米系児童生徒の高校進学率は他の言語を母語とする児童生徒に比べて低いことが明らかとなった。外国人児童生徒の定住化が進む中、どのような支援策が必要なのか、入試配慮の実態や効果を検討しながら議論を進めていく必要がある。