2015 年 8 巻 p. 92-109
経済のグローバル化のもと、発展途上国の都市が変容した。その変容は、一方で、旧来の過剰都市化像の延長で解釈されてきた。他方で、欧米のグローバル都市像の延長で解釈されてきた。本稿は、これらの解釈を批判・補充して、マニラ首都圏の〈都市底辺層〉を事例に、かつ労働の変容に焦点を当て、新たな概念(新労務)を以て途上国都市の変容を捉える枠組を構成する。本稿は、それを(途上国における)「新労務と都市底辺層」仮説と呼ぶ。仮説は4つの命題からなる。一つ、経済のグローバル化のもと、途上国に(も)グローバル都市が現れた。二つ、同じく、フォーマル労働部門における労働のインフォーマル化が進んだ。三つ、労働のインフォーマル化は、新労務(層)を生んだ。新労務(層)は、新貧困(層)を生んだ。四つ、新労務層・新貧困層の人々が、都市底辺層を構成する。本稿は、これらの命題について議論し、新たな概念枠組を提示し、「新労務と都市底辺層」仮説の現実適合性を主張する。