理論と動態
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Print ISSN : 2185-4432
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ジェントリフィケーションと都市底辺労働の階層化
マニラのストリート・ベンダーを事例として
吉田 舞
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2016 年 9 巻 p. 55-72

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抄録

 フィリピンのマニラ首都圏(Metro Manila)で、ジェントリフィケーションによる都市空間の再編が進んでいる。本稿は、その都市底辺層への影響を、ストリート・ベンダー(公共空間での物売り)を事例に考察する。近年では、経済のグローバリゼーションのもと、世界中の都市で、都市空間資源への資本投下と、それにともなう労働階層の再編が続いている。都市空間のジェントリフィケーションや美化計画が進められるなか、公共空間の使用規制が厳しくなり、貧困層が締め出されている。マニラ市においても、国立公園や教会周辺の公園など、治安対策や美化計画による空間の再編が進んでいる。その影響は、ストリート・ベンダーも例外ではない。これまで、行政や資本の介入がほとんどなかった「インフォーマル」なストリート・ベンダーの世界に、いま、「フォーマル」なベンダーが新たに参入しつつある。本稿は、マニラ市内のA 地区およびリサール公園(Rizal Park)で2013年9月と2016年3月に行ったフィールド調査のデータを用いて、都市空間の変容と、ストリート・ベンダーの階層化とその意味について分析・考察する。

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© 2016 特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所
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