2016 年 9 巻 p. 73-91
近年、「LGBT」という言葉はメディアでも定着する様相を示している。そして、このカテゴリーは社会における様々な領域と関連づけられ、多様な問題として提起されてもいる。「LGBT 消費」「職場におけるLGBT」「学校教育とLGBT」等々である。こうした流れのなかで、渋谷区や世田谷区のように行政区域におけるパートナーシップ証明書発行のように独自のLGBT 対応も現実化している。しかし、これまで語られてきた性的マイノリティやLGBT の現実のほとんどは東京や大阪など大都市圏に生活する人びとを前提としていたといえる。それは、「メトロノーマティヴィティ」という視角として概念化されてもいる。そこで、本稿では、大都市圏には含まれない地方都市に居住する性的マイノリティの生活における語りをとおして、これまで不可視化されてきた地方都市に住む性的マイノリティの現実を明らかにすると同時に、インフラストラクチャーという資源がないなか、生活の現実が不可視化される状況のなかでも、自らの生活を構築していく様相の記述を、「メトロノーマティヴィティ」という視角をとおして試みたい。