ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
災害救援にみるイランの社会におけるローカルNGOの役割と発展
2003年12月26日イラン南東部地震の事例より
岡野 恭子
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 12 巻 p. 77-88

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抄録

 人道支援の現場において、国際NGOの役割とともに、長期的な復興支援の担い手として、また、地域に根差した活動という視点から、ローカルNGOの役割が高まっている。しかしながら、ローカルNGOの発展にはその地域の社会・政治・文化的背景が大きく影響している。イランは伝統的にボランティア精神が根付いていた社会であったが、その政治体制等の社会環境により、NGOを含む組織的活動に様々な制約があった。しかし、2003年に発生したイラン南東部地震により、国内においてNGO活動に対する意識は急速に高まり、多くのローカルNGOが被災地にて救援活動に参加した。しかし、緊急期以降、NGOの多くは活動継続が困難となっており、その要因として、社会に内在するNGOの発展を阻害する要因や、組織としての能力・財政面における困難があることが明らかになった。イランのNGOを取り巻く社会状況を変えることは容易ではないが、イラン南東部地震の救援活動を通し、海外の援助者との協働により大きく発展したNGOもある。そうした経験を積んだNGOが今後の活動を通してイランの社会の中からローカルNGOの発展を牽引していくことが期待される。

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2012 国際ボランティア学会
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