ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
12 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 国境を越える出会いと学び
    中村 安秀
    2012 年 12 巻 p. 3-13
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     東日本大震災は、高齢化社会を直撃した自然災害であった。緊急時から復興に至るまで、被災した地元の人たちが中心になって被災現場で活動を行っていた。また、国内外から多くのボランティアや関係団体が駆けつけ、よそ者と地元の方との間で多くの協働の物語が生まれていた。インド洋地震津波支援においては、ビルド・バック・ベターの思想が提唱された。災害前にすでに存在していた社会の脆弱性や不公平さに慎重に対処しながら、被災地に外部から駆けつけた支援者とともに、新しい社会を創造していくことの意義が強調されていた。東日本大震災において、海外から多くの支援が寄せられた。人と人がつながり、国と国がつながるグローバル世界においては、国際的な緊急支援を行うこともあり、ときには緊急支援を受ける側に回ることもある。世界から支援を受けた東日本大震災の貴重な経験を契機に、共感と連帯への感謝の気持ちを活かした、双方向のベクトルをもった新しい国際協力のあり方が確立することを期待したい。
  • 東日本大震災におけるジャパン・プラットフォームの活動
    石井 正子
    2012 年 12 巻 p. 15-26
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿では、東日本大震災の初動対応期におけるジャパン・プラットフォーム(JPF)の活動を概観し、どのように国際人道支援の経験が活かされたかを中心に、その意義と課題について述べる。JPFは東日本大震災発災までのおよそ10年間半にわたり、日本をのぞく世界約30カ国で669件の人道支援事業を実施してきた。その経験は東日本大震災においても、1)迅速性と高いロジスティックス能力、2)リソースの集約と大規模な支援、3)支援をつなぐ:調整と連携、4)海外で実施してきた支援スキームの応用、などの分野において活かされた。本稿では、これら4つの分野におけるJPFの活動を整理して記述する。そのうえで、東日本大震災でのJPFの経験が、今後の国際人道支援に与える示唆について述べる。
  • 現場からの声として
    大江 浩
    2012 年 12 巻 p. 27-40
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     3.11。大地震・大津波そして原発事故。死者・行方不明は約2万人。私たちは、東日本大震災という悲劇に遭遇し、今も忘れえぬ生々しい記憶と共に生きている。本稿は、阪神・淡路大震災(1995)の復興支援、そしてその後の国内外の災害支援の現場、そして今3.11の支援に関わる体験者からの「現場の声」である。テーマは、「災害と惨事ストレス」、そして「支援者のケア」である。災害は、悲痛な体験と共に死別・喪失をもたらす。明日の見えない絶望のトンネルの只中にあって、Survivor’s Guiltを生きる被災者。しかしその「深く傷ついた人々の想い」に寄り添う支援者も「傷ついている」。支援者は共感すると同時に負いきれぬ想いにつぶれそうになる。限界を感じ、時に挫折し燃え尽きそして孤立化する。日本では危機介入従事者や支援者のトラウマに対する認識が高くなく、ケアの取り組みが遅れている。筆者が受けた米国での研修と米国での取り組みからの学び、災害支援の現場での様々な事例、そして精神保健・心理支援の専門家の至言を交えながら、「支援者の必要性」について考察していきたい。
  • 望ましい未来を創るために
    ウェレ ミリアム
    2012 年 12 巻 p. 43-59
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
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    This address begins by mentioning some of the Japanese people whom Mama Miriam has come to know and through whom good relationships have been established. It mentions that the friendship established from person to person interactions and visitations provide the foundation for international friendships towards peace. This goes on to describe Africa’s difficult history and how this affects today’s livelihoods through the passing on of apathy, lack of hope and discouragement from generation to generation. Then she points out that through national and international cooperation, support and especially through the spirit of voluntarism, the people themselves are participating in creating the future they want. The address points out the importance of youth being nurtured in the spirit of volunteerism and points to great examples of JICA young volunteers as well as youth in UZIMA Foundation in Kenya who undertake positive social actions for society at large and for promoting the well-being of other youth. It ends by referring to the fact that the future we want is enshrined in the charter of the United Nations (UN) and the Universal Declaration of Human Rights. In particular she refers to articles 25 and 26 of the Universal Declaration of Human Rights which refer to “the right to a standard of living adequate for the health and wellbeing of himself and of his family, and the right to education directed towards development of the human personality.” She ends her address by urging all people to envision and work for future we want by promoting these ideals through participating in proactive volunteer work both in developing and developed countries.
  • 福祉国家の再編がもたらす影響
    坂口 緑
    2012 年 12 巻 p. 63-75
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     ボランタリーセクターに関する研究は、長い間、アメリカがリードしてきた。アメリカでは、伝統的に政府の果たす機能が限定されており、その代わり、多様なボランティア団体が国家の代替機能を果たしてきた。ヨーロッパにおいても近年、福祉サービス供給者としてボランタリーセクターが注目され、それをどのように市民社会がコントロールすべきかという規範的な関心が高まっている。背景にあるのは、福祉国家の再編である。ヨーロッパの中の小国デンマークでも、福祉国家の再編をめぐる議論を経て、ボランタリーセクターをいかにして利用できるのかが議論されている。しかし、このような関心のもとで抱かれる期待の正当性は必ずしも明らかではない。本論文は、5人のデンマークの研究者に対するヒアリング調査を元に、国家セクターとボランタリーセクターの関係が、福祉多元主義の影響の下でどのように変化しているのかを明らかにする。
  • 2003年12月26日イラン南東部地震の事例より
    岡野 恭子
    2012 年 12 巻 p. 77-88
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
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     人道支援の現場において、国際NGOの役割とともに、長期的な復興支援の担い手として、また、地域に根差した活動という視点から、ローカルNGOの役割が高まっている。しかしながら、ローカルNGOの発展にはその地域の社会・政治・文化的背景が大きく影響している。イランは伝統的にボランティア精神が根付いていた社会であったが、その政治体制等の社会環境により、NGOを含む組織的活動に様々な制約があった。しかし、2003年に発生したイラン南東部地震により、国内においてNGO活動に対する意識は急速に高まり、多くのローカルNGOが被災地にて救援活動に参加した。しかし、緊急期以降、NGOの多くは活動継続が困難となっており、その要因として、社会に内在するNGOの発展を阻害する要因や、組織としての能力・財政面における困難があることが明らかになった。イランのNGOを取り巻く社会状況を変えることは容易ではないが、イラン南東部地震の救援活動を通し、海外の援助者との協働により大きく発展したNGOもある。そうした経験を積んだNGOが今後の活動を通してイランの社会の中からローカルNGOの発展を牽引していくことが期待される。
  • 全国大学生調査の分析から
    河井 亨
    2012 年 12 巻 p. 91-102
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
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     本研究では、京都大学高等教育研究開発推進センターと公益財団法人電通育英会が共同実施している全国調査『大学生のキャリア意識調査2010』の分析を通じて、ボランティア活動への参加によって学生の学習がどのように異なるのかを明らかにすることを目的とする。大学入学前後のボランティア活動への参加の有無から4グループを作成して分析1を行い、大学入学後のボランティア活動への参加の程度から3グループを作成して分析2を行う。分析1・2において、大学生活の過ごし方、充実感、知識・技能の習得、授業外実践コミュニティとラーニング・ブリッジング、そして2つのライフについて、各グループを検討する。まず分析1では、大学入学前後ともにボランティア活動に参加したことがある学生グループと大学入学前は参加していなかったが入学後に参加した学生グループが、学生の学習に関する検討項目で高い得点を示した。そして分析2では、より多くボランティア活動に参加していた学生グループが、学生の学習に関する検討項目で高い得点を示した。大学入学前後でのボランティア活動に参加し、かつ参加を継続することが、学生の学習に結びつくことが明らかになった。そして、より多く参加することが知識・技能の習得さらには領有につながることが明らかになった。こうした結果から、少なくとも、より多くかつ充実したボランティア活動の機会さらにはサービス・ラーニングの機会を学生に開いていくことが、今後の大学教育にとって重要であると考えることができる。
  • 森定 玲子
    2012 年 12 巻 p. 105-106
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 山口 洋典
    2012 年 12 巻 p. 107-108
    発行日: 2012/07/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
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