2014 年 14 巻 p. 13-25
高卒資格を基礎的なものとしてみなす日本社会において、外国につながる子どもたちの低い高校進学率を放置すれば、彼らは、学歴を媒介として貧困へと水路づけられてしまう。 本稿は、神奈川県の事例を中心に、高校進学ガイダンスをはじめとする、外国につながる子どもたちに高校教育を保障する取り組みの現状を明らかにし、ボランティア団体(NPO)と教育委員会の協働が持つ可能性について、考察するものである。 神奈川県においては、地域支援者の相互協力によって高校進学ガイダンスが始まったが、2000年代半ばよりボランティア団体と教育委員会との協働が本格化した。ボランティアの地域支援者と教育委員会はそれぞれの強みを持っており、両者の協働が持つ可能性は大きい。2013年現在、高校進学ガイダンスに始まった協働は、高校進学後を支える多文化教育コーディネーター事業に発展している。各高校で支援にあたる多文化教育コーディネーターは、学習支援や居場所支援だけでなく、高校卒業後を意識したキャリア支援にも取り組み始めている。