ボランティア学研究
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14 巻
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  • 高校進学をめざす外国人生徒が置かれた教育環境
    小島 祥美
    2014 年 14 巻 p. 3-11
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    2011年3月、国は日系定住外国人施策に関する行動計画のなかで、外国人の高校進学希望者にかかわる受入れについての環境整備の必要性を明示した。未だ外国人は就学義務の対象外と扱われているなか、国が外国人の高校進学にかかわる支援を明文化した意義は大きい。しかしながら、外国人生徒の入学者選抜の在り方について、全国的な実態を明らかにした調査研究はほとんど実施されておらず、各地の現状が比較できないという課題が残されていた。  そこで本特集では、「外国人生徒のキャリア形成とボランティア」をテーマに設定し、「研究」と「実践」というボランティア学を支える両輪の関係性について改めて検討したい。そのために、まず本論では外国人の高校進学希望者の登竜門である外国人生徒にかかわる高校入学者選抜の現状把握を試みる。高校進学をめざす外国人生徒が置かれた教育環境について全国の自治体別に実態を比較したうえで、それぞれの地域で尽力するNPOの実践論文から、外国人生徒のキャリア形成においてボランティアが今を担う役割を明らかにしていきたい。
  • 神奈川県における教育委員会とNPOの協働
    吉田 美穂
    2014 年 14 巻 p. 13-25
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     高卒資格を基礎的なものとしてみなす日本社会において、外国につながる子どもたちの低い高校進学率を放置すれば、彼らは、学歴を媒介として貧困へと水路づけられてしまう。  本稿は、神奈川県の事例を中心に、高校進学ガイダンスをはじめとする、外国につながる子どもたちに高校教育を保障する取り組みの現状を明らかにし、ボランティア団体(NPO)と教育委員会の協働が持つ可能性について、考察するものである。  神奈川県においては、地域支援者の相互協力によって高校進学ガイダンスが始まったが、2000年代半ばよりボランティア団体と教育委員会との協働が本格化した。ボランティアの地域支援者と教育委員会はそれぞれの強みを持っており、両者の協働が持つ可能性は大きい。2013年現在、高校進学ガイダンスに始まった協働は、高校進学後を支える多文化教育コーディネーター事業に発展している。各高校で支援にあたる多文化教育コーディネーターは、学習支援や居場所支援だけでなく、高校卒業後を意識したキャリア支援にも取り組み始めている。
  • 神戸市におけるKFCの進学支援の実践から
    金 宣吉, 志岐 良子
    2014 年 14 巻 p. 27-42
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     1980年代、90年代に起きた難民条約批准によるインドシナ難民受入、身元引受人制度改善による中国残留邦人帰国者の増大、入管法改定による日系人在留資格拡大、急増した国際結婚などによって外国にルーツを持つ子どもが日本に急増した。日本のような高度産業社会では、外国にルーツを持つ子どもの進学の重要性が認識されるべきであるが、正確な状況の把握さえ十分ではない。外国にルーツを持つ子どもの高校進学率は、日本人の子どもの50%~70%程度と推察されており、その原因として移住家庭をとりまくさまざまな問題がある。子どもたちが何につまずいているかを知ることができないと「学びの保障」について本質的に考えるべき視点も生みだしをえない。  本稿では、進学を阻む要因と進学を実現するための支援について、古くからの移住民多住地域である神戸市長田区における進学支援活動から考える。その上で進学支援の成果や課題を、移住家庭で育まれる母文化の継承や民族名の選択といった当事者である子どもの生き方も含めて考えたい。また子どもたちが成長するホスト社会である日本があるべき変化を遂げて受け入れているかという課題についても考察したい。
  • NPO法人Mixed Roots x ユース x ネット★ こんぺいとうの実践報告
    渡辺 マルセロ, オチャンテ 村井 ロサ メルセデス, オチャンテ 村井 カルロス, 小島 祥美
    2014 年 14 巻 p. 43-54
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は、外国にルーツをもつ若者が設立したNPOの活動実践から後輩を応援することの意義を考察しながら、同じ境遇で育った先輩が後輩を応援する仕組みづくりのあり方を提案する。  本論で取り上げるNPO法人Mixed Roots×ユース×ネット★こんぺいとうは、東海地域で育った若者が中心となって設立した団体である。東海地域は1990年以降に外国人住民が急増し、特に親や家族と共に来日した子どもが最も多い地域で、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数は全国でも上位を占める。同NPOの活動メンバーある筆者たちは、来日した当時は日本語がわからずに学校生活や進路進学で苦労も多かったものの、学校の先生や友人、家族、そして出会った多くの方々の支援により、多くの難を乗り越えることができた。現在は一人の社会人として自立し、日本で生活を営む若者たちである。  こうした筆者たちが挑戦した活動から得た学びは、「ルーツに自信がもつことの重要性」であった。未だ外国人が置かれた教育環境が改善されず進学や進路で悩む外国人高校生が多い現状において、後輩との対話の場や難を乗り越える数々のヒントを先輩として提供していきたい。
  • 三重県キャリアガイド出前セミナー事業を事例に
    坂本 久海子, 神水 円
    2014 年 14 巻 p. 55-63
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     1990年代から、三重県にも製造業の担い手として多くの日系外国人が住むようになった。当初は短期間のデカセギのつもりだった彼らも、子どもが日本に適応し、学校で学ぶようになると、定住の道を選ぶ人も多くなった。  日本の教育制度や教育事情をよく知らない家庭で育っている子どもや保護者のために、外国人が集住する自治体では教育委員会が進学ガイダンスを開催している。三重県キャリアガイド出前セミナー事業は、三重県が外国人を「住民」という視点から実施する施策で、この事業に先立ち、県はキャリアガイドDVDを2枚作成した。  NPO法人愛伝舎は、2012年度から2年続けてこの事業を受託している。当事者である子どもや保護者にだけではなく、教育関係者、地域社会に向けて民生委員・児童委員の方々、企業・産業界の学習会、社会福祉関係者など、多様な立場の方々を対象にしてセミナーを開催している。  セミナーでDVDを視聴し、講師に自分や家族の経験や思いを話してもらうと、参加者は深い共感や理解を示した。地域社会の広い層への発信を通して、多文化共生の道が開けていくことを実感している。
  • 国際ボランティア学会・第14回大会報告
    小島 祥美
    2014 年 14 巻 p. 67-69
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 寄付10兆円時代実現に向けた現状と課題
    鵜尾 雅隆
    2014 年 14 巻 p. 71-78
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の寄付市場は約1兆円。社会のために役立ちたい人が増加している傾向の中で、寄付市場についても、増加傾向にある。東日本大震災の際の寄付は日本人の15歳以上人口の76.9%が行っており、震災寄付額も6,000億円を超える。その寄付者意識や最新の動向、日本の寄付の歴史や今後の可能性について全体像を解説する。あわせて、寄付10兆円時代の実現に向けた今後の課題と展望を取りまとめる。
  • みんなで“志金”を持ち寄るしくみを次世代に
    木村 真樹
    2014 年 14 巻 p. 79-87
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     50年後には現役世代1人で高齢者1人を支える時代がやってくる日本。社会が成熟し、買い替え需要しかない上に、お金を使う人が減っていく。普通に考えれば、景気がよくなることは想像できない。そうなれば当然税収も減り、あらゆる公共サービスをすべて行政が担うことは難しくなる。そうした中、社会の課題にいち早く気づき、その解決に挑むNPOをどうしたらみんなで応援できるか。「志金」を集め、地域のNPOに必要なお金の流れをつくろうという仕組みづくりが現在、全国各地で進められている。筆者はこれまでNPOバンクを経営するなかで、個人にとって出資は、「返してもらえるお金」として、寄付よりも出しやすさがある一方で、企業にとっては寄付の方がありがたいことを実感してきた。また、NPOにとって融資は、助成よりも自立(自律)が促されるが、返済が見込めない場合には当然融資を受けられない。そうした段階のNPOをどう支えるかが課題のひとつであった。筆者の今後のチャレンジは、「地域内“志金”循環モデル構想」の実現である。日本でいちばん“志金”が循環する地域を目指して、中間支援組織、行政、地域金融機関等との連携を通してNPOに必要なお金の流れをつくる。
  • 大西 健丞
    2014 年 14 巻 p. 89-94
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
     2013年の国際ボランティア学会の大会開催地である愛知県と、災害支援団体Civic Forceは、同年4月、災害時等の相互協力に関する協定を交わした。Civic Forceは災害支援で自治体との連携を重視しており、隣の三重県や静岡県袋井市、宮城県気仙沼市とも同様の協定を結んでいる。将来の大規模震災で深刻な被害が予想される自治体側には、Civic Forceと提携・協力関係にある企業を含め、民間のリソースを被災者支援や復興に最大限に活用したいという意図があるようだ。  Civic Force設立の背景には、2004年の新潟県中越地震の際の教訓がある。地元の自治体との連携不足で物資や情報が届かず、企業の力を支援に活用する体制も不十分だった。これらを改善するため、さまざまな支援組織のリソースを集約するプラットフォームとして、また支援活動全体を効果的に調整するためのハブとして、Civic Forceは設立された。先の東日本大震災では、一部とはいえ企業と進めてきた事前合意が支援に生かされた。  災害対応では、自治体と民間の団体や企業がそれぞれの得意分野を生かし、現場で効果的に連携することがきわめて重要である。自治体側にもその意識が高まっており、連携は今後さらに拡大・深化していくと考えられる。
  • 日下部 尚徳
    2014 年 14 巻 p. 97-98
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小島 祥美
    2014 年 14 巻 p. 99-100
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
  • 山口 洋典
    2014 年 14 巻 p. 101-102
    発行日: 2014/02/28
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
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