2013年の国際ボランティア学会の大会開催地である愛知県と、災害支援団体Civic Forceは、同年4月、災害時等の相互協力に関する協定を交わした。Civic Forceは災害支援で自治体との連携を重視しており、隣の三重県や静岡県袋井市、宮城県気仙沼市とも同様の協定を結んでいる。将来の大規模震災で深刻な被害が予想される自治体側には、Civic Forceと提携・協力関係にある企業を含め、民間のリソースを被災者支援や復興に最大限に活用したいという意図があるようだ。
Civic Force設立の背景には、2004年の新潟県中越地震の際の教訓がある。地元の自治体との連携不足で物資や情報が届かず、企業の力を支援に活用する体制も不十分だった。これらを改善するため、さまざまな支援組織のリソースを集約するプラットフォームとして、また支援活動全体を効果的に調整するためのハブとして、Civic Forceは設立された。先の東日本大震災では、一部とはいえ企業と進めてきた事前合意が支援に生かされた。
災害対応では、自治体と民間の団体や企業がそれぞれの得意分野を生かし、現場で効果的に連携することがきわめて重要である。自治体側にもその意識が高まっており、連携は今後さらに拡大・深化していくと考えられる。
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