2014 年 14 巻 p. 43-54
本論は、外国にルーツをもつ若者が設立したNPOの活動実践から後輩を応援することの意義を考察しながら、同じ境遇で育った先輩が後輩を応援する仕組みづくりのあり方を提案する。 本論で取り上げるNPO法人Mixed Roots×ユース×ネット★こんぺいとうは、東海地域で育った若者が中心となって設立した団体である。東海地域は1990年以降に外国人住民が急増し、特に親や家族と共に来日した子どもが最も多い地域で、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数は全国でも上位を占める。同NPOの活動メンバーある筆者たちは、来日した当時は日本語がわからずに学校生活や進路進学で苦労も多かったものの、学校の先生や友人、家族、そして出会った多くの方々の支援により、多くの難を乗り越えることができた。現在は一人の社会人として自立し、日本で生活を営む若者たちである。 こうした筆者たちが挑戦した活動から得た学びは、「ルーツに自信がもつことの重要性」であった。未だ外国人が置かれた教育環境が改善されず進学や進路で悩む外国人高校生が多い現状において、後輩との対話の場や難を乗り越える数々のヒントを先輩として提供していきたい。