2014 年 14 巻 p. 79-87
50年後には現役世代1人で高齢者1人を支える時代がやってくる日本。社会が成熟し、買い替え需要しかない上に、お金を使う人が減っていく。普通に考えれば、景気がよくなることは想像できない。そうなれば当然税収も減り、あらゆる公共サービスをすべて行政が担うことは難しくなる。そうした中、社会の課題にいち早く気づき、その解決に挑むNPOをどうしたらみんなで応援できるか。「志金」を集め、地域のNPOに必要なお金の流れをつくろうという仕組みづくりが現在、全国各地で進められている。筆者はこれまでNPOバンクを経営するなかで、個人にとって出資は、「返してもらえるお金」として、寄付よりも出しやすさがある一方で、企業にとっては寄付の方がありがたいことを実感してきた。また、NPOにとって融資は、助成よりも自立(自律)が促されるが、返済が見込めない場合には当然融資を受けられない。そうした段階のNPOをどう支えるかが課題のひとつであった。筆者の今後のチャレンジは、「地域内“志金”循環モデル構想」の実現である。日本でいちばん“志金”が循環する地域を目指して、中間支援組織、行政、地域金融機関等との連携を通してNPOに必要なお金の流れをつくる。