ボランティア学研究
Online ISSN : 2434-1851
Print ISSN : 1345-9511
サービス・ラーニングとシティズンシップ教育の関係性について
若槻 健
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 15 巻 p. 17-26

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抄録

本稿では、ともにコミュニティへの参画を重視する学習/教育である米国発のサービス・ラーニングとイングランドをはじめとするシティズンシップ教育のアンビバレントな関係を示し、その上でサービス・ラーニングの有効性について論じる。サービス・ラーニングは、コミュニティの問題と出会うという点で、シティズンシップ教育にとって決定的に重要である。サービス・ラーニングに参加した生徒たちは、その経験を通じて、自分とは異なる人々の境遇に思いをはせ、そのような人々の境遇をつくり出している社会的な要因にも思いを巡らせる。一方、政治的リテラシーを重視するシティズンシップ教育の論者のなかには、奉仕(サービス)に特化したサービス・ラーニングはコミュニティの権力関係や多様性への視点が欠如しているとして懸念を示す者もいる。そうした懸念を超えるためには、サービス・ラーニングが、ボランティア活動(サービス)だけでなく十分な振り返りを組み込んだ学習(ラーニング)を含み、そのことにより社会構造の矛盾に目をむけていくことが求められる。

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2015 国際ボランティア学会
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