2017 年 17 巻 p. 5-12
21世紀を特徴づけるものとして、高度情報化社会・高度知識基盤社会がある。情報通信技術(ICT)は、21世紀社会を成り立たせる基盤となる一方で、さまざまな社会変化にともなう負の影響を克服する可能性を示している。また、ICTは人類に新たなフロンティア、「サイバー空間」をもたらした。国際ボランティアにも、ボランティア活動とICTとの関わりのなかで、新たな可能性がもたらされている。ICTによる新たなボランティア活動の特色としては、遠隔参加、いつでもどこでもだれでも参加、協調参加、経験共有などがある。ICTにより、緊急時通信、流通、広報とコミュニティ支援、資金確保、人材募集、教育と研修、人材開発管理、安心・安全の確保などの機能を強化・補完することが期待される。サイバー空間でのボランティアとして、ネットいじめや炎上に対する対応、サイバー防犯ボランティア、オンライン教育支援ボランティアなどの例がある。21世紀の国際ボランティア活動では、サイバー空間でのボランティア活動やICT利用を対象にしたボランティア活動が増えることが予想され、技術開発や人材育成を進める必要がある。