2017 年 17 巻 p. 13-21
国際ボランティアの歴史を見渡してみると、何回かのパラダイム・シフトが起きている。最初の大きな転換は、80年代から90年代にかけ、国際協力全体で生じた「援助する」「援助される」という関係性から、「ともに学び、ともに生きる」という平等な関係性への転換である。この転換にはNGOやボランティア活動が大きな役割を果たした。現在、資本主義が変質し始めていることによるパラダイム・シフトが起きている。先進国で発展してきた大量生産、大量消費、中間層などの社会の基本的な枠組みが揺らいでいる。従来型のODAは維持することは困難になるとみられる一方で、問題解決型の社会的企業などが増加し、ボランティアやNGOと接近してくる。 最近の動きとして自国第一主義が台頭しつつあるが、国際ボランティアは、それに対して、国際的な連帯を維持発展させていく役割、あるいは地球規模問題へ積極的に発言、行動していく役割が極めて重要になってきている。