2006 年 6 巻 p. 71-95
新潟県中越地震の被災地支援活動にあたった学生を中心としたグループ(fromHUS)の事例をもとに、学生による災害時のボランティア活動の意義とその背景について検討した。現代の学生の多くは状況的関心(論理的な一貫性に基づかずに語られるところの関心)に基づいて行動することが多いといわれる。本稿では、学生たちが災害時に有意義な災害ボランティア活動を展開することが可能であることを例証し、その背景の一つに状況的関心の存在があることを指摘した。また、こうした活動から、学生たちが確かに何かを学んでいることを示した。さらに、こうした有意義な活動や学びが成立した背景として、学生たちの活動が「ワークショップとしてのボランティア活動」となっていたことを指摘し、それを可能にした条件についても検討した。