レーザ距離センサによる幾何形状データのマッチングに基づく地図作成・位置同定技術は,産業分野においては,特に無人搬送車の走行制御や物品の所在管理などへの応用が期待されている.しかし,これらの技術は,システムへの組込みが容易な形での提供されていないことなどから,産業応用はあまり進んでいない状況にある.これを踏まえ,筆者らは,システムへの組込みの簡単化を目的として,地図作成・位置同定用コンポーネントの開発を行った.同コンポーネントは,環境変化時の位置同定誤りの原因となる,レーザ距離センサ周辺の計測点の重みを減らすマッチング,また,幾何的特徴を保持しながら低解像度化した地図によるCoarse to Fineベースの高速処理などを特徴とする.本稿では,実用化に向けて生じた課題と対処,想定利用分野に合わせて策定した運用フローなどについて述べ,また,製造現場への適用を通してコンポーネントの有効性を示す.