近年,カメラのぼけ関数(PSF)を用いてデコンボリューションを行うことで,奥行ぼけや動きぼけの復元を行う研究が進みつつある.特に,コンピュテーショナルフォトグラフィの研究の進展により,被写体の奥行が一定でない3次元シーンにおいても全焦点画像の生成や被写界深度の制御が可能になりつつある.本稿では,カメラを露光中に移動させることにより,画像中での物体の動きの方向や大きさによらずPSFがほぼ不変となることを示し,この性質を用いることで物体の動きの方向や大きさに依らず動きぼけの復元が可能であることを示す.この撮像方法では,任意の奥行きを持つ物体の奥行きぼけ復元が可能であることがすでに知られている.一方,提案法では任意の奥行きに存在する任意の動きを持つ物体の奥行きぼけと動きぼけを同時に復元することが可能である.実画像実験を行うとともに,レンズシミュレータを用いてぼけ復元精度を定量的に評価することで,提案法の有用性を示す.