2017 年 71 巻 3 号 p. J110-J117
近年,監視カメラ映像におけるプライバシー侵害の問題が注目されている.これまでの可逆的プライバシー保護手法では記録画像の流出による第三者からのプライバシー侵害行為を防ぐことができるが,監視者が確認する記録画像にはプライバシー保護処理が施されていないため,悪意ある監視者によるプライバシー侵害行為を防ぐことができない.監視者が確認する記録画像に対するプライバシー保護手法として,目標画質より算出された二乗誤差を基準としたスクランブル処理とヒストグラム操作による復元に関わる情報の埋め込み処理を組み合わせた手法がある.そこで本稿ではその手法に改良を加え,処理時間を大幅に短縮し,実用に耐えうる技法を実現した.また,改良した手法において,スクランブル強度制御実験,プライバシー保護レベル評価実験および動作の検出実験,さらに単位画像あたりの処理時間測定によるリアルタイム性評価実験を行い,その有効性を確認した.