2019 年 73 巻 1 号 p. 161-166
本研究は,物体の硬さや手触りなどの情報を伝えるサービスの実現に向けて,触覚情報を提示するシステムの開発を目的とする.その一環として,把持して空間内を移動させることで仮想物体の3次元形状と硬さの情報が得られるハプティックデバイスを開発した.本デバイスは,ユーザが把持するデバイスの動きを取得し,指の腹に接する4つの提示部と手のひらに接する2つの提示部を駆動することで,示指と手のひらに仮想物体の表面形状を提示する.また,母指側のアクチュエータの反力を制御することで,仮想物体の部分的な硬さの違いを提示する.評価では,四角柱,六角柱,円柱を提示し,各側面の形状の違いが被験者により識別できることを確認した.また,異なるバネ定数のバネの硬さを提示したところ,被験者実験により識別できることがわかった.評価結果から,デバイスの設計指針として,硬さの違いを相対的に表現する方式が有効である可能性が示唆された.