2019 年 73 巻 5 号 p. 987-992
近年,深層学習を用いた高精度な画像認識器を構築する方法論が注目されている.一方,深層学習では内部でどのような画像特徴量が生成されているのかが不明であることが実用上不便であるとの指摘がなされている.従来の画像分類では,人が事前に設定した複数の画像特徴量を各軸とする特徴空間中に入力画像群を写像し,SVM(Support Vector Machine)などを用いてクラス間の識別面を生成する手法が用いられていた.この場合,学習データとして特徴空間中の任意の点を追加することができるが,その点が実際にどのような画像であるのかを確認する手段が存在しなかった.入力画像から特徴空間への写像は多対一の写像であり,一般に特徴量から逆にその特徴量をもつ画像を作ることができないからである.そこで本論文では,筆者らの研究室で先に開発した進化的画像処理の手法をこの問題に応用する手法を提案し,その有効性を確認する.