映像情報メディア学会誌
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論文
MIMO信号検出の低演算量化と二偏波チャネル測定値を用いた特性評価
朝倉 慎悟宮坂 宏明中村 円香村山 研一土田 健一府川 和彦
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2019 年 73 巻 5 号 p. 993-1003

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抄録

日本放送協会 (NHK) では,8Kスーパーハイビジョン等の大容量コンテンツを配信するため,次世代地上デジタル放送の研究開発を進めている.これまでに,水平偏波と垂直偏波を同時に用いる偏波MIMO伝送や,優れた誤り訂正符号であるLDPC符号などの要素技術を検討してきた.地上デジタル放送は,衛星放送と異なり建造物による遮蔽や室内などの見通し外伝搬環境となり得るが,次世代地上放送では現行と同等もしくはそれ以上の受信性能が求められる.そこで,実測の劣悪な伝搬環境を想定し,偏波MIMO伝送の信号検出アルゴリズムを検討する.具体的には,LDPC符号器へ入力するビット対数尤度比を求める際,チャネル行列のQR分解に基づき,信号候補数をチャネル行列の条件数に応じて削減する.この制御により,受信特性の劣化を抑えつつ信号検出の演算量を効果的に削減できる.さらに演算量を削減するため,Complex SD (Sphere Decoding) の手法を導入し,加えて受信機ではビット対数尤度比の数値範囲が限られるので,ビット対数尤度比のクリッピングを検討する.劣悪な伝搬条件下で計算機シミュレーションを行い,提案手法の有効性を明らかにする.

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© 2019 一般社団法人 映像情報メディア学会
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