映像情報メディア学会誌
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特集動画付き論文
空間整合性を考慮したOutside-in方式拡張現実感の実現
向井 信彦中村 建太張 英夏
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2021 年 75 巻 2 号 p. 297-304

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抄録

現実空間に仮想物体を表示することで,提示できる情報量を増強する拡張現実感技術が様々な分野で活用されている.拡張現実感の実現には,現実空間において仮想物体の表示位置を推定するために特定のマーカを用いるマーカ方式とマーカを用いず映像上の特徴点を利用するマーカレス方式に大別されるが,これらの方式はいずれもカメラに写る映像からカメラの位置や姿勢を推定するInside-out方式である.一方,カメラに写る映像を用いることなくカメラの位置や姿勢を推定するOutside-in方式にはGPS(Global Positioning System)や磁場,あるいは赤外線などのセンサーを用いることが多く,画像を用いる方式もあるが,単一画像のみではカメラの位置や姿勢の推定が困難な状況も存在する.そこで本稿では,位置と姿勢を推定すべきカメラを立方体の箱に入れ,立方体の各面にマーカを張り付けることで,頑健性の高いOutside-in方式拡張現実感の実現手法を提案する.また本方式では,現実空間上を移動して現実空間を撮影するカメラ(移動カメラ)に貼り付けられたマーカ画像を基に移動カメラの位置と姿勢を推定し,現実空間と空間整合性のある仮想空間上のカメラ(仮想カメラ)を制御して,仮想カメラが捉える仮想物体を移動カメラが写す映像上に重畳表示することで拡張現実感を実現する.さらに,本方式を用いて推定された仮想カメラの位置補正方式についても検討し,現実空間上における仮想物体表示位置精度の検証を行う.

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© 2021 一般社団法人 映像情報メディア学会
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