2025 年 79 巻 6 号 p. 638-643
災害時におけるスマートフォンの役割が増す中,制限された充電環境下で長時間利用を可能とする消費電力抑制技術が求められている.本研究はこれに対し,ディスプレイの画素を空間的に間引いて表示する空間間欠表示方式と,画像を時間的に間引いて表示する時間間欠表示方式の2つを提案した.これらは人間の視覚における時間・空間分解能特性を活用することで,情報の可読性の低下を招く表示の明るさの低下を抑制する.実験の結果,空間間欠表示方式において,表示画素領域間を視覚の空間分解能の3倍程度に設定すると,表示・非表示領域が分離して視認され,知覚される明るさが増すことが確認された.時間間欠表示方式においては,非表示期間を33.3 ms以上に設定すると,表示・非表示期間が分離して視認され,知覚される明るさが増す.可読性の評価実験から,空間間欠表示方式は文字の可読性を低下させる場合があるが,空間間欠表示方式は問題がないことが確認された.