抄録
聴覚障害者が電話音声を理解するための補助システムとして, 電話音声の画像化方式の開発を進めている.本研究は, その方式の実現のために必要な, 電話帯域外にある音声パラメータ (第3ホルマントおよびピッチ) を決定する方法について検討したものである.第3ホルマント周波数 (F3) の推定は, 帯域内にある第1, 第2ホルマント周波数 (F1, F2) と通常音声から抽出されたF3の関係を, 単母音データの重回帰分析により回帰式として求めた.個人性を消去した平均的傾向として, 回帰式は2次式で充分であり, 実際の電話音声における3連母音の推定ホルマント軌跡は, 通常音声の抽出値を良く近似している.ピッチ (F0) の抽出法として, 帯域内の高調波成分から非線形処理によって基本波を復元し, その周期を検出する方法を提案した.電話音声の抽出例によれば, 300Hz以下の低いピッチ変化を, 通常音声の視察を交えた判定の基準とほぼ一致している.