抄録
誘導結合型プラズマ(ICP)を利用したマグネトロンスパッタ装置を試作し、Co-Cr垂直磁気異方性膜の作製を行った。誘導結合型プラズマ支援マグネトロンスパッタ装置では、高周波によるプラズマ生成と、ターゲットに印可した直流によるスパッタ成膜とが機能分離できているために、通常のマグネトロンスパッタ法ではプラズマの維持が不可能な低いターゲット電圧領域においてもCo-Cr薄膜の作成が可能なことが明らかになった。ICPを用いることで、通常のマグネトロンスパッタ法のみの場合よりも、高い成膜速度が実現できた。ICP電力を増すと、作製したCo-Cr膜の垂直磁気異方性は減少する傾向がみられた。大きな垂直磁気異方性をもつCo-Cr膜を高速に作製するには、ICPを用いることに加えて、正の基板バイアス電圧の印可を併用することが効果的であるとの見通しを得た。