抄録
ディスペンサおよびオキサイドカソードを、層流型およびクロスオーバ型電子銃に組み込み、高電流密度動作での「振る舞い」の違いを実験およびシミュレーションにより調べた。オキサイドカソードを高電流動作させると、コーティング層内のジュール熱による発熱現象が、仕事関数とカソード電流の積に依存する冷却現象より大きくなり、結果としてカソード温度は上昇する。この温度上昇が寿命中のエミッション劣化を加速する。ディスペンサカソードの温度は、高電流動作させることにより、低下する。オキサイドカソードをクロスオーバ型電子銃で動作させると、コーティング層内に曲面状の等電位面が形成される。この電位面の形成により、負荷緩和現象が生じる。これは、オキサイドカソードが、屠流型よりクロスオーバ型で、より長寿命となる原因と考えられる。