映像情報メディア学会技術報告
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高品位電子映像による、写真に記録されていた"カメラ前の像"再現の可能性
宮原 誠小林 幸夫白井 英樹林 秀彦
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p. 57-64

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抄録

我々は、高度感性情報の撮影、伝達、ディスプレイに注目して、電子映像の新たな可能性を求めている。我々が開発中のExtra High Quality Imaging Systemは、創作者の深い表現を損なわずに表現することを目指して、種々の心理物理学的検討を行い、pilot systemを作り上げつつある。このsystemで、新たな発見があった。それは、吟味して撮影された弥勒菩薩の写真から読み取った画像信号を、このsystemにディスプレイすると、高度感性情報に関して、写真を直接見て心に受け取るものよりはるかに深く、撮影されたときのカメラ前に存在した像から受け取れたものが表現されているのではないかと推測される程の表現があった。高品位電子映像は、オリジナルを所詮越えられないと言う限界を越え得るのかどうかの重大な問題である。このような表現ができた物理要因を検討する。写真そのものを観察してもそこまでの高度感性情報は得られないが、高度感性情報は保存されていると考えられる。さらにこの考えを発展させて、印象派画家Renoireの、歴史的に印象派の欠点とされた絵画 : "Nude in the sun"をこのsystemにディスプレイして、"腐った膚"の表現が、"木漏れ日の反射の肌"の表現になるかの実験結果を示す。

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© 1998 一般社団法人 映像情報メディア学会
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