抄録
福祉機器の目的は、その主たる使用者である障害を持つ人達の日常生活におけるバリアを軽減・解消し、活動範囲の拡大、生活の質(QOL)の向上を支援することにある.ところが、実際には、必ずしも意図した通りの役割を果たすことができないままになってしまうものも多いとの指摘がある.本文では、機器のユーザ・インタフェース、およびユーザビリティーの視点から、機器類の目的を達成するために必要な要因を検討する.特に、コミュニケーション支援機器の主たる使用者にとって好ましいインタフェース機能を考える場合には、想定されている使用者である障害者と、操作の補完を行う介助者の2つを統合した使用環境のもとで考えなければならない.この環境のもとで、それぞれの機器が実効的に有用なものとなるための課題について機器設計へのアプローチも含めて検討する.