抄録
本稿では, 寝たきりの障害者や高齢者がキーボードを使用することなく電子メールを送受信するためのシステムについて報告する.本システムにより, 使用者がベッドや自宅にいながらにして外部との情報交換を行うことが可能になる.文字や各種コマンドの入力に既報告の首振り動作の検出(頭部につけた赤色マーカを追尾)を利用し, かな漢字変換や電子メール機能については, 市販のアプリケーションとのインタフェースの整合性を取るため, 各種APIを利用して主にGUI部分のみを新規に作成した.さらに操作性を改善するため, カメラ位置の補正を自動的に行うキャリブレーション機能を実現した.実験の結果, 撮像領域内のマーカのずれに対して約30秒でキャリブレーションを完了できることを確認した.