抄録
レーザー核融合における高利得設計への最大の障害は、流体力学的不安定性による燃料ペレットの球対称圧縮の阻害である。この不安定性による燃料ペレットの表面の擾乱の成長は、ある擾乱波長(カットオフ波長)以下では全く成長しないと考えられており、このカットオフ波長を実験的に決定することは、高利得設計に重要である。keV領域のX線シャドウグラフィーにより、ピンホールを用いたX線カメラで擾乱の成長が観測されてきたが、カットオフ波長観測には、空間分解能と光量が不十分である。この2点に有効で、かつ密度分布計測も可能にするトロイダル湾曲結晶を用いた単色X線イメージャーの開発を進めている。今回は、現有の単色X線イメージャーの空間分解能を評価し、ピンホールカメラの空間分解能15μmに対して、7〜8μm程度の空間分解能との値を得た。光線追跡計算による評価との比較も行い、カットオフ波長観測に向けた設計を紹介する。