抄録
聴覚には物体の存在感を強めたり、視覚に入らない物体を知覚できるという特長があり、仮想環境に立体音響を導入することは臨場感を高める上で重要である。しかし、仮想環境において立体音響の実時間生成のための音響モデルに関する研究は少ない。本稿では, 仮想環境において立体音響を実時間で生成とすることを目的とする。まず、幾何音響に基づく音響モデルを提案する。ここでは、回折と反射をモデル化して、周波数特性を近似する。そして回折と反射を組み合わせ方について検討する。次に、音線経路探索に適するデータ構造を提案する。ここでは、可視グラフとセル隣接グラフを用いて経路を効率よく決定する。これらの手法により、一般の建築物のように複雑な音場のインパルス応答を実時間で生成することが可能となる。