抄録
多階調液晶表示装置の動画像品質を改善するには液晶の応答速度を短縮しなければならない。ここでは通常のリフレッシュ間隔を保ったまま駆動電圧を工夫することで応答速度を改善する手法「オーバードライブ方式」について述べる。まず応答速度の定義として慣習的に使われている90%相対精度応答速度では改善すべき階調遷移がわからないこと、積算応答効果を補償するだけの電荷補償型オーバードライブや輝度対応表を用いたオーバードライブでは不充分であることを解説する。そしてTN液晶の内部状態の過渡応答の解析から、キャパシタンスをパラメータとして用いた再帰型システムでオーバードライブ回路を構成しなければならないことを示す。