2021 年 76 巻 5 号 p. I_1321-I_1330
近年,採算の見合わないバス路線が減便・廃止され交通不便地帯が増加しており,その対策としてオンデマンド型相乗りタクシーシステムの導入が期待されている.しかし,新しい交通サービス導入時には,対象地域に適したサービス設計検討のために事前の導入効果の評価が重要となる.本研究では,熊本市中心部を対象としてエージェントベースのメソ交通シミュレータとオンデマンド型最適配車・経路探索システムを連携したシミュレーションを行い,現状のタクシー需要を前提とした相乗りタクシーの導入効果を検証した.その結果,相乗り車両台数を増加させることで利用者の目的地到着までの時間が大幅に短縮されたが,車両の稼働率が下がった.この結果から各時間帯の需要を予測し,適切な配車数や相乗り人数の調整が必要であることが示唆された.