抄録
デジタルTV放送用送信機には信号増幅において高いリニアリティーが要求されている.電力増幅器の歪みを分析する手法や,補償方法に関して多くの検討がなされている.送信機における歪みは,時間領域の非線型歪みと周波数領域の線形歪みがあり,それぞれに振幅と位相の成分がある.このため,精度の高い補償を行うにはベクトル演算を主体としたデジタル信号処理が必要となる.また, DSP(Digital Signal Processor)により補償係数を自動生成し,アダプティブに係数を更新していく事が有効である.本稿では,このアダプティブデジタル補償器開発における考慮すべ点を指摘し,その実用例について報告している.