抄録
フラクタル画像符号化において,縮小写像の決定は重要な問題である.なぜなら,再生画像の品質が,縮小写像により大きく左右されるからである.従来のフラクタル画像符号化では,コラージュ定理に基づき,原画像に対し一回の縮小写像を施し得られる画像(コラージュ)と原画像との誤差(コラージュ誤差)を最小とする縮小写像を最良の写像として決定する.コラージュ定理は,コラージュ誤差が小さい場合に,そのコラージュを生成する縮小写像を任意の初期画像に繰り返し施して得られる再生画像が原画像を良く近似することを保証している.しかしながら,実際には,コラージュ誤差が小さいとは限らず,従来のフラクタル画像符号化で決定される縮小写像を用いても,原画像に近い再生画像が得られるとは限らない.そこで,本文では,再生画像と原画像との誤差をGAおよびSAにより最小化することで縮小写像を決定する新たな手法を提案する.本文で提案する手法を用いることで,原画像に最も近い画像を再生することが可能なIFSパラメータを決定できる.