抄録
インクジェットプリンタが持つ高い解像度を有効利用する方法の一つは,立体表示への応用である.従来のホログラフィやインテグラルフォトグラフィは,特殊な眼鏡なしに多方向から立体視が可能な優れた方式であるが,それらの製造には特殊な装置や部品が必要である.そこで本研究では,インテグラルフォトグラフィのフライアイレンズをピンホールアレイで置き換え,かつそれをインクジェットプリンタで作成することにより,誰もが容易に入手できる機材のみを用いた簡易な立体表示方式を実現した.パソコンで作ったパターンをプリントした2枚の透明OHPシートの間に透明薄板を挟み,背面から照明をあてると,正面から立体画像を観察できる.立体データの作成方法として,独自のプログラムでレイトレーシングを行う方法と,既存のCGソフト(POV-Ray)を用いて視点の位置を制御する方法を用いた.