本研究では,回転接触子により指先表面に剪断力分布を与えることで,対象のなぞり感覚を提示する触覚ディスプレイに関して,剪断刺激の基礎特性を調査している.接触子の回転速度に関して感覚尺度構成を行い,接触子径及び回転方向について考察するとともに,刺激提示部位への依存性についても調査した.示指末節に100〜1500[rpm]の回転速度の剪断刺激を提示したとき,約6〜8段階の感覚強度が観測された.また,指先先端の感度が最も高いということが示された.更に,2種類の剪断刺激を提示することにより,干渉効果についても調査した.隣接する接触子による剪断刺激の強度を増加させると,感覚強度が減少するという結果が得られた.