抄録
計算機合成ホログラムにおける物体光波計算には点光源法が多く用いられてきたが,表面モデルで全方向視差ホログラムを計算した場合長い計算時間を要する点,またオクルージョンが生じるシーンを再生するための有効な隠面消去法が存在しない点が問題となっていた.本研究では,この問題を解決するため著者らが提案したポリゴン法物体光波形成技術とシルエット法光波遮蔽技術で計算を行い,レーザーリソグラフィ技術によって40億ピクセル規模の全方向視差計算機合成ホログラムの試作を行った.このホログラムの再生像は両眼視が可能であり,簡易的ではあるが相互オクルージョンのあるシーンを再生するため,従来無かったほどの強い立体感を有する美しい空間像となっている.